2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_1097-67_I_1102
平成20年6月に改正道路交通法が施行され,四輪車の後席乗員にもシートベルトが着用義務化された.同年10月には,高速道路上での取締りも開始され,高速道路上でのシートベルト非着用は,罰則が課されるようになった.JAF/警察庁が公道上で実施した調査によると,道路交通法改正後は高速道路,一般道路とも後席乗員の着用率が大きく増加していることが示された.交通事故統計データを用いて,後席シートベルトの着用者率が上昇したことにより,後席乗員の被害軽減効果を定量的に示すことを目的とした研究を行った.その結果,後席シートベルト着用者率の上昇により死亡重傷率が減少し,後席乗員の死亡重傷者が減少したことが示された.また,更なる着用者率向上により,死亡重傷者が減少することが想定された.