抄録
新住宅市街地開発事業と土地区画整理事業を併用して実現された多摩ニュータウン開発では,鉄道,道路,河川など骨格となる都市施設の一体的な整備が重要な課題であった.通常,開発事業者は開発区域内の整備のみを行うが,多摩ニュータウン開発では,ニュータウン全体の整備促進のため開発事業者が骨格となる広域的な都市施設整備費の一部を負担している.本研究では,どのような考え方で整備が進められたのかについて,事業者と自治体などの間で結ばれた覚書や協定書から明らかにし,その結果どの程度の開発者負担が生じたのか,また実際の事業に期間はどの程度かかり,他の多摩地域と比較して事業進捗に差が生じたのか,そして最後に開発事業者の負担が可能となった背景は何か,について明らかにした.