抄録
本研究は,2008年に起きた急激なガソリン価格の変動による世帯の自動車利用行動,および消費行動への影響を捉えるために,広島市内の3地区を対象に世帯アンケート調査を実施した.ガソリン価格が130円前後から180円前後へと,50円ほどの価格差が生じた影響としては,自動車利用に関しては週当たり平均使用日数において約9%の減少となり,保有世帯の約4分の1で利用の抑制が行われた.世帯属性および自動車利用特性が,自動車利用抑制と消費節約行動にいかに影響しているかを数量化II類を用いて分析した結果,所得水準や自動車の利用目的が大きく影響していることが明らかとなった.また,自動車利用・保有に関わる転換意向モデルを構築することによって,ガソリン価格の変化による自動車の利用・保有状況の転換可能性を捉えることができた.