抄録
近年,ラウンドアバウトは,安全性の向上や停止時間短縮による環境負荷低減が期待できる平面交差構造として欧米諸国等で積極的に導入されている.我が国でも導入に向けて研究が行われてきているが,積雪地域特有の課題については十分に検討されていない.そこで,苫小牧寒地試験道路に模擬設置したラウンドアバウトにおいて,秋期と冬期に被験者を用いた走行実験を行い,路面状態の違いによる運転挙動の変化や主観評価への影響に着目し分析を行った.その結果,雪氷路面時は乾燥路面時と比べて,車両の環道流入時の速度が低下し,走行位置が中央島に近くなる傾向を確認した.また,冬期は,走りやすさや安心感の評価が低くなった.雪氷路面時に区画線位置が不明確になることが一因と考えられ,走行位置を明確にする対策が必要であることが分かった.