抄録
都市間旅客交通部門に固有の特性として,運航頻度と需要量の関係が存在する.とりわけ,航空市場では,昨今の規制緩和の進展によって収益性の高い大都市近郊空港は航空会社の積極的な参入によって航空市場が拡大傾向にあるが,地方路線では需要の低迷により市場の縮小が発生している.こうした状況において,今後の環境税導入は航空事業者の運航経費を増加させ市場を縮小させる要因となり,更なる市場縮小という悪循環へ陥ることが懸念される.したがって本研究では,規制緩和下にある日本の都市間旅客交通部門を対象に,運航頻度と需要量の関係から発生する悪循環をモデル化する手法として独占的競争理論を応用し,市場規模の変化による需要サイドと供給サイドの相互作用による影響を評価する新たな分析手法を開発した.