抄録
近年,諸外国では,自転車利用は健康に効果のあることが報告されており,わが国でも健康志向の高まりに伴って,適度な身体活動であり,環境負荷の小さい移動手段である自転車利用に注目が集まっている.わが国では自転車の歩道走行が常態化しており,低速の自転車利用では健康によいとは考えにくいが,車道を前提とした空間整備が進むことによって健康便益を得られる可能性がある.本研究では,低速の歩道走行から高速の車道走行に変わることによる消費エネルギーの違いに着目し,実験室実験と,実道路走行実験により,心拍数を用いて消費エネルギーを推計した.その結果,低速の歩道走行時よりも高速の車道走行時の方が単位時間当たりの消費エネルギーは大きくなる一方で,走行空間の違いによっても消費エネルギーは異なることがわかった.