2012 年 68 巻 5 号 p. I_1115-I_1122
近年,欧州でShared spaceと呼ばれる新しい交通鎮静化手法が注目されている.この手法が適用された空間では,アイコンタクト等,利用者間のコミュニケーションが増加し,道や空間を譲り合うため,重大事故の減少につながるとされているが,その因果関係は定量的に示されていない.本研究では,自動車と歩行者間のコミュニケーション(アイコンタクト・会釈など)を実際に観測し,彼らのコミュニケーションと協調行動(減速,停止などの譲り合い行動)生起の関係を定量的に示すことを試みた.観測・分析の結果,自動車と歩行者間に事前コミュニケーションが生じると,協調行動が生じやすいことが統計的に示されたほか,自動車の速度が低いほど事前コミュニケーションや協調行動が生起しやすいことも示された.