抄録
本研究では,道路車線数が事故発生リスクに与える影響を把握することを目的とし,高速道路片側2車線区間と多車線区間における事故発生リスクの差異を分析した.具体的には,阪神高速道路ネットワークを対象に,2006年1月1日から2008年12月31日の3年間の交通事故記録と車両感知器により観測された交通流観測データ,道路幾何構造データ,降水量データを用いて,多車線区間とその他の高速道路片側2車線区間各々において,交通流要因をはじめとする各種要因が事故発生リスクに与える影響を調べた.その結果,追突事故と車両接触事故に関しては,多車線区間における事故発生リスクがその他区間よりも大きいこと,ならびに各種要因が事故発生リスクに与える影響の度合いが車線数によって異なることを示した.