2012 年 68 巻 5 号 p. I_339-I_348
都市のコンパクト化を進める上で,都市的利用を中止する地区および集結する地区の選定を,QOL(Quality Of Life)指標および市街地維持費を評価値として選定し,遺伝的アルゴリズムを用いて最適化を行った.新潟県旧上越市に適用した結果,QOL最大化の場合,郊外から郊外へ移転し,特に大型病院のある地区や緑地の豊富な地区への集結が最適であることが示された.一方,市街地維持費最小化の場合,地価が低く築年数が経過している住宅の多い地区から撤退し,鉄道駅周辺や商業施設の充実した幹線道路沿線へ集結することが最適であることが示された.さらに,QOLと市街地維持費を共に考慮する両立モデルでは,市街地維持費削減効果の大きい地区から先に撤退し,その後QOLの向上につながる移転を行うことが最適であることが分かった.