抄録
地方部での観光行動は,自動車への依存度が高いことから,交通ネットワークの変化が観光行動,更には観光産業へ与える影響を計測することは,地方部における観光振興策の検討にあたって非常に重要である.本稿では交通ネットワークの整備レベルの変化が,基礎的自治体の観光産業へ与える影響を空間的応用一般均衡モデルを活用し空間的に把握することで,地方部における観光振興策の検討に資する基礎情報を提供することを目的とする.その際,我が国では基礎的自治体レベルで統一された観光統計が十分整備されていないことから,分析に必要な観光産業の付加価値額を推計しモデルにインプットすることで,観光産業を明示化した分析を行う.