2012 年 68 巻 5 号 p. I_499-I_511
居住地や出身地に対するアイデンティティである地域アイデンティティの存在は,人々に地域への誇りや愛着を持たせ,地域の人たちにとって共に生きがいのある生活空間を作り出すための様々な活動を促進する役割を果たす.本研究では過疎中山間地域におけるおつきあい行動を分析し,地域アイデンティティの形成との関係を明らかにする.文献レビューを通じてアイデンティティ概念を整理するとともに,人々が形成している人的ネットワークとの関係を明らかにする.さらに,共分散構造モデルにより地域アイデンティティとおつきあい行動との関係を明らかにするとともに,過疎地域振興のためのアイデンティティ向上に関する政策を提言する.