2012 年 68 巻 5 号 p. I_903-I_908
中京都市圏で東海・東南海・南海地震等の大規模災害が発生した際の,帰宅者の行動を交通シミュレーションにより分析した.現在,国の定める防災マニュアルでは,東京都と同様に,徒歩による帰宅を促している.しかし,東京都市圏と同様に,遠距離のため徒歩で帰宅できない者が多数発生することが予想される.東京都市圏に比べ自動車の分担率が高い中京都市圏では,自動車利用による影響をより慎重に考慮する必要がある.本研究は,帰宅手段に自動車利用を認めた場合の交通状況をシミュレーションすることにより,自動車利用がどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とする.分析の結果,自動車利用により帰宅断念者数を大幅に減らす一方,大渋滞により救援活動に支障をきたす可能性が示された.