2012 年 68 巻 5 号 p. I_929-I_941
現在の道路整備事業の事業採択は,費用便益分析マニュアル等に基づいて,個々の事業区間に対する費用便益比(B/C)を最終ネットワークにおけるwith / withoutによって算出し判断している.しかしながら,事業区間ごとの静的な個別評価では,段階的に複数の箇所が整備されていく場合のネットワーク外部性が考慮できないため,段階整備を加味した動的評価が必要となる.また事業区間に関しては,区間設定によっては事業採択に差が出る可能性がある.本研究では,事業区間の設定を内生化した動的事業評価(事業採択と整備順序)モデルを提案する.提案モデルによるシミュレーション分析の結果,従来の静的評価に比べ,動的評価の方が評価地域全体の総純便益(B-C)が高く,更に事業区間を内生化した動的評価が最も高く,本方法の有効性が示された.