2012 年 68 巻 5 号 p. I_943-I_949
埼玉県日高市を走る路線バスは,PDCAサイクルでの運行改善を6年間にわたって実践してきた.路線バス事業において明確なPDCAサイクルによる改善を複数回実施してきたという詳細報告は他になく,継続的な事業改善の効果や課題を明らかにすることは実務的に意義が高い.
本研究では,路線バス事業においてPDCAサイクルによる運行改善を複数回実施してきた事例を通して,継続的実施の効果と課題を明らかにする事を目的とする.PDCAサイクルを継続することで,適切なダイヤ計画と運行により利用者数が維持・増加する可能性が確認されたが,同時にサイクルを効果的に実施するための工夫が必要である事も判明した.また路線バス事業が品質改善と運行コスト削減の限界を迎えた際,公共交通を地域でどのように維持するのかの方法論の重要性を指摘した.