抄録
東日本大震災では,石油精製・輸送施設が広域で被災し,東北・関東地方で石油不足問題が発生した.本研究では,石油製品販売量と港湾間の移出入統計を用いて,東北地域における発災後一ヵ月間の品種別石油製品の需給ギャップを分析した.その結果,以下の事実が明らかになった:(1) 発災後2週間の東北地域へのガソリン移入量は,平常時需要量の約1/3に過ぎなかった,(2) 2週間の供給不足により累積需要量が累積供給量を大幅に上回り,両者の差である待機需要が溜まった,(3) この待機需要が解消したのは発災後4週目となり,その結果,東北地域全体で約1週間分(平常時の日需要量換算)のガソリン需要が消失した.(4) 需給ギャップの状況は,太平洋側と日本海側地域で大きく異なり,宮城県・岩手県・山形県では,非常に大きかった.