土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
69 巻 , 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
和文論文
  • 佐藤 太一, 河野 達仁, 越村 俊一, 山浦 一保, 今村 文彦
    2013 年 69 巻 2 号 p. 64-80
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     早期避難は津波災害による人的被害を低減するために有効な手段としてあげられている.本研究では避難遅延の要因となる主な心理的作用である認知的不協和および情報待ちの態度を明示的に組み込んだ避難開始の意思決定行動モデルの構築を行い,分析を行った.その結果,まず人々の避難遅延を引き起こす認知的不協和と情報待ちの態度の作用を数理的に説明した.さらに,津波警報の発令確率や避難時の不安感などのパラメータ変化による感度分析を行い,津波避難政策を実行する上で政策実施者が考慮すべき点として,1)住民はあいまいな危険性を認知した場合情報待ちをしてしまう,2)津波のような発生頻度の低い災害では認知的不協和により非合理な待機をしてしまう住民が多くなる,3)避難路整備,防災教育実施上の留意点などを得た.
  • 加藤 浩徳
    2013 年 69 巻 2 号 p. 81-100
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     本論文は,業務目的の交通時間節約価値を包括的かつ理論的に分析することを目的とする.まず,既往研究のレビューより,業務目的の交通時間節約価値の導出には,費用節約アプローチとHensherアプローチとがあることを示す.次に,業務交通を分析する上では,交通の意思決定者,交通時間節約に支払意思を持つ主体,移動中の労働の有無,業務交通のスケジュール,労働時間外の賃金支払いの有無が,留意すべき点であることを示す.その上で,被雇用者,雇用者,および両者の共同意思決定を含めた10の時間配分モデルを定式化し,それらから交通時間節約価値を導出する.また,これらのモデルを拡張することにより,賃金率プラス公式とHensher公式を導出する.最後に,以上の分析から得られる示唆を整理する.
  • 羽鳥 剛史, 小林 潔司, 鄭 蝦榮
    2013 年 69 巻 2 号 p. 101-120
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     社会基盤整備事業に関わる合意形成を行う上で,パブリック・インボルブメントをはじめとする公的討論が重要な役割を担っている.本研究では,社会基盤整備における公的討議の意義と課題について整理し,社会的意思決定における正統性を様々な討論過程を通じて担保するための理論的枠組みについて考察する.その際,討論システムの概念を導入し,公的討論が特定の公的討論を対象としたミクロ討論,討論システム全体を対象としたマクロ討論で構成されており,パブリック・インボルブメント等が,ミクロ討論とマクロ討論を接合させる役割を果たすことを指摘する.その上で,討論システムを構成する公的討論の基本原理や望ましい討論を実現するための課題や問題点,討論の望ましさを評価するための基本的な考え方について考察する.
  • 溝上 章志, 藤見 俊夫, 内添 啓太
    2013 年 69 巻 2 号 p. 121-134
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     地方都市ではモータリゼーションの進行や大型商業施設の郊外出店などにより郊外化が進行しており,中心市街地では商業の衰退や定住人口の減少,地域コミュニティの活力低下など,経済的・社会的な問題が生じている.そのような中,まちなか居住の推進は,中心市街地の空洞化の抑制や地域産業の活性化など,今後の人口減少・少子高齢化を見据えた持続的なまちづくり施策として,その効果が期待されている.本研究では,潜在クラスモデルにより,現在は郊外に居住している世帯からまちなか居住志向セグメントを分離した.これらのセグメントの特性や住宅・周辺環境に対する意識構造を分析することにより,まちなか居住を促進するための計画課題と促進策を明らかにした.
  • 塚口 博司, 柴田 裕基, 平田 秀樹, 安 隆浩
    2013 年 69 巻 2 号 p. 135-145
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     近年,大都市都心部の交通ターミナルは,交通結節点としての機能だけでなく,商業施設の集積によって,大規模化される傾向にある.このため,これらの交通ターミナルは多層構造を有することになるが,来訪者にとっては3次元空間における行動を余儀なくされることになる.本研究は,3次元構造を有する大規模交通ターミナル地区において,歩行者の経路選択行動を実態調査によって把握し,これに基づいて経路選択行動モデルを構築することを目的とする.具体的には,上下移動を行う場所の選択モデルと,上下それぞれの平面における経路選択モデルを組み合せることによって,3次元空間における歩行者の行動を表現しようとするものである.
  • 中村 一樹, 林 良嗣, 加藤 博和, ワスンタラースク ワシニー
    2013 年 69 巻 2 号 p. 146-159
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     アジア途上国では,経済成長に伴いモータリゼーションと都市域スプロールが急速に進行しており,乗用車依存社会の形成を避けるためにも,低炭素交通システムをより早期に実現することが求められている.しかし,アジア途上国都市では,データ制約や将来の不確実性から,必要な施策の効果を把握することは容易ではない.本研究では,アジア都市における道路と鉄道の整備経路による将来のモータリゼーションの進行と鉄道利用の浸透の違いを日本の経験からシナリオ化し,これによる世帯立地の変化をモデル化することで,土地利用交通施策の早期実施によるスプロール抑制の可能性をバンコクを例に分析する.この結果,鉄道整備・土地利用規制・沿線高密度開発の組み合わせと,それらの実施時期によって,人口密度の分布は大きく変化することが示された.
  • 三和 雅史, 大山 達雄
    2013 年 69 巻 2 号 p. 160-175
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     筆者らが提起した最適軌道保守計画作成モデルについて,シミュレーションと実証試験によってその性能を分析,評価し,モデルの運用実施の汎用化のための検討結果と将来課題を示す.最初に,本モデルにより得られた軌道狂い保守計画を実施した際の軌道状態推移をシミュレーションによって推定し,過去の保守実績及び軌道状態推移と比較して計画の妥当性を評価する.また,現地試験結果に基づいてモデルの性能を評価し,本モデルの有効性を確認する.更に,施策変更時にも活用できるように本モデルを汎用化し,計画システムを開発した結果を示す.最後に,将来課題として,多様な保守方法を対象とした総合的な軌道保守計画モデルへの展開並びに国際標準化の規格(RAMS)に基づく鉄道システムの品質向上への貢献可能性について述べる.
  • 大門 創, 森本 章倫
    2013 年 69 巻 2 号 p. 176-186
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
     近年,地方都市を中心にモビリティの低下による移動制約者が増大している.これは土地利用計画と交通計画の十分な相互関連性が図られずに,市街地が無秩序に拡大した結果と考えられる.このような問題に対応すべく,市街地整備と交通施策が連動した集約型都市構造の考え方が提唱されているが,弱い土地利用規制や既存コミュニティの問題等からその実現化のプロセスは確立されているとは言い難い.
     本稿では,集約型都市構造実現に向けた望ましい居住地選択へと誘導するための新しいモビリティの概念を提案するものである.具体的には,モビリティを時間軸で捉え,生涯に亘り享受し得るモビリティの総和をモビリティ残存価値と定義し,その概念構築,定量化及び検証を行なうものである.
  • 赤松 隆, 大澤 実, 長江 剛志, 山口 裕通
    2013 年 69 巻 2 号 p. 187-205
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災では,石油精製・輸送施設が広域で被災し,東北・関東地方で石油不足問題が発生した.本研究では,石油製品販売量と港湾間の移出入統計を用いて,東北地域における発災後一ヵ月間の品種別石油製品の需給ギャップを分析した.その結果,以下の事実が明らかになった:(1) 発災後2週間の東北地域へのガソリン移入量は,平常時需要量の約1/3に過ぎなかった,(2) 2週間の供給不足により累積需要量が累積供給量を大幅に上回り,両者の差である待機需要が溜まった,(3) この待機需要が解消したのは発災後4週目となり,その結果,東北地域全体で約1週間分(平常時の日需要量換算)のガソリン需要が消失した.(4) 需給ギャップの状況は,太平洋側と日本海側地域で大きく異なり,宮城県・岩手県・山形県では,非常に大きかった.
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