2013 年 69 巻 5 号 p. I_613-I_620
地方分権化が進み,都市計画における市町村の役割が非常に高まっている.低炭素社会を実現していくためには,各市町村が都市の低炭素化の実態を把握したうえで,都市計画マスタープランにおいて適切な政策を掲げていく必要がある.本研究では,都市ごとの一人当り自動車CO2排出量の変遷を最新のデータを踏まえ明らかにした上で,経年的比較が可能なモデルの構築を通じその要素を把握し,都市マスにおける政策の構成要素との対応関係をみることで,政策方向性を検討した.分析の結果,都市の一人当り自動車CO2排出量は一部で減少に転じたことが分かった.排出量を決める要因として人口密度や都市構造以外に,自家用車保有率が強く影響を及ぼしており,これらの要因を都市計画マスタープランの中で取り上げていくことの一層の重要性が示された.