抄録
平成20年以降の状態別死者数を見ると,「歩行中」が最も多いことから,歩行者事故への対策が重要となっている.そこで本研究は,歩行者が右左折車を確認する際の挙動を分析し,歩行者が接近車両を回避できる安全な確認行動を明らかにする.試験場内に設置した模擬交差点において,車両が右左折する状況のもと,歩行者が横断する実験を実施した.その際,右左折車両の接近パターン,昼夜による視認性の変化,ヘッドホン装着の有無による周囲の音の聞こえやすさ,歩行者のスタート位置の変更により,歩行者の横断歩道横断時における右左折車への確認行動のデータを得た.また同時に,歩行者が車両接近時に感じた危険性に関するアンケートを行い,安全評価に基づく適切な安全確認の位置を明らかにした.