本研究では,高速道路と一般道路が並列する道路ネットワークを対象として,道路利用がもたらす混雑と構造物の劣化という外部不経済性を内部化することを目的とした高速道路の次善料金について理論的分析を試みる.その際,大型車と普通車によって道路構造物の劣化に及ぼす影響が異なること,および,一般道路と高速道路の間で構造物の耐荷力が異なることに着目し,車種別の高速道路料金設定による大型車の経路誘導を通じて,混雑費用,維持補修費用の双方を考慮した社会的費用を可能な限り抑制する次善高速道路料金について分析する.さらに,車種別料金を差別的に設定することは,料金設定による大型車の経路誘導を通じた道路ネットワークの維持補修費用の軽減効果の有効性を高めるうえで重要な意味を持つことを示す.