2014 年 70 巻 5 号 p. I_1003-I_1011
近年,まちづくりや交通政策と高齢者の健康問題について検討されてきているが,公共交通利用等がどの程度高齢者の健康維持に影響を与えているかは実証的なデータにより検証されていない.本研究では,高齢者の交通行動と身体活動量の関係に関する基礎的データを得ることを目的とし,高齢者の1日の生活活動と歩行量を調査した.その結果,公共交通利用は,車利用より1日の歩行量を増加させることがわかった.しかし,高齢者の行動パターンでは,車利用から公共交通へ転換し,積極的に公共交通を利用しても,「からだ」の健康維持には寄与できるほど歩行量を確保できないことがわかった.