2015 年 71 巻 5 号 p. I_201-I_208
我が国は,世界的にも有数の自然災害大国であり,防災・減災対策に向けた取組は極めて重要である.災害時においては,とりわけ道路ネットワークの多重化(リダンダンシー)が被害軽減に大きな役割を果たすが,突発事故による渋滞や高速道路等の工事といった通常時においてもその効果を発揮するものと考えられる.この通常時におけるリダンダンシーは,企業の生産活動へ大きな影響を与えると想定されるが,これらの影響・効果が定量的に分析された事例はない.そこで本稿では,固定効果モデルによるパネルデータ分析手法を用いて,リダンダンシー(第2最短経路)と企業立地の関係を統計的に分析した.その結果,有意な地域がいくつか得られ,リダンダンシーによる企業立地効果を捉えることができた.