抄録
気候変動緩和策としてCO2排出量の削減は,国際的にも喫緊の課題である.これまで地域レベルでの排出量推定の試みがなされてきたが,全部門を総合して直接・間接排出量の両面から推計・整理し,その空間分布を比較した研究はない.本研究は,市区町村レベルで直接排出量を全部門で統合するとともに,家計消費に伴う間接排出量を推計し,両者を比較することを目的とする.具体的には,4部門の直接排出量を算定する研究成果を加工・統合するとともに,産業連関表を反映した2種の原単位に基づく間接排出量を推計し,面積カルトグラムを用いて比較した.排出量を排出場所に割り付ける直接排出と最終需要者側に割り付ける間接排出の両面から推計することで,排出責任の観点から比較し,大都市圏での消費生活が環境負荷に及ぼす影響を示すことができた.