抄録
インバウンド観光需要が高まる中,今後は訪日リピーターの獲得が一層重要になると考えられる.本研究では,2010年より実施されている観光庁の訪日外国人消費動向調査を用いて,訪日リピーターの観光消費を分析した.初訪日旅行者と訪日リピーターの観光消費を比較した結果,訪日リピーターの方が消費額が小さくなる傾向が示された.消費のうち大きな割合を占める買物代について内訳をみると,初訪日旅行者には家電製品等が多く購入される一方,リピーターになると服・かばん・靴の購入額が増加することが明らかになった.また,訪日回数別に観光消費額を比較したところ,初訪日よりも2回目の旅行者のほうが有意に少ないことが認められたものの,2回目から5回目の旅行者にかけての消費額には有意な変化が見られなかった.