2015 年 71 巻 5 号 p. I_451-I_458
鉄道と他の交通機関との乗り継ぎ利便性の向上は,鉄道のさらなる利用促進に資する.しかし,鉄道と他の交通機関との乗り継ぎの定量的評価はこれまで行われてこなかった.そこで,鉄道とバスの乗り継ぎに着目し,移動距離のほか歩行安全性やバス停設備など駅周辺の様々な特徴が乗り継ぎ利便性の評価に与える影響を定量的に分析した.はじめに一対比較による仮想乗り継ぎ行動調査を行い,利用者の多様な利便性評価観点を抽出・整理した.その上で,取得されたデータに基づき,ロジスティック回帰モデルを援用した乗り継ぎ利便性評価モデルを構築し,歩行環境やバス停設備が評価に与える影響を定量的に明らかにした.最後に,その結果を用いて,各経路の利便性を定量的に評価する指標と,その試算結果を示した.