土木学会論文集D3(土木計画学)
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和文論文
将来効用の動学的異質性を考慮した避難開始選択モデルの構築
浦田 淳司羽藤 英二柳沼 秀樹
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2016 年 72 巻 4 号 p. 261-277

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抄録

 本研究では,時々刻々と変化する発災後の避難行動を記述することを目的として,将来効用に動学的異質性を導入した拡張型避難開始選択モデルを構築した.本来,避難行動は将来リスクの回避行動であることから,災害発生の稀少性ゆえに避難時における真の将来効用認知が困難であるという行動特性に着目し,これを表現するモデルを提案した.また,提案モデルに適用可能なMPEC型のパラメータ推定アルゴリズムを構築し,将来効用をパラメータと同様に扱うことで,動学的に異質な将来効用を現実的な計算コストで求解できることを示した.東日本大震災における陸前高田市の津波避難行動データを用いた実証分析により,動学的異質性に基づいた避難行動仮説の妥当性を示し,また時間や場所により将来効用認知の特徴が異なることを明らかにした.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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