抄録
頻繁に自然災害が発生する我が国において,災害廃棄物等の処理は,災害発生直後から取り組むべき重要な課題である.平時の廃棄物処理との違いは,仮置場や最終処分場の確保,リサイクル等の中間処理を災害対応の混乱時に進めることである.しかしながら,災害は,種類,規模,発生場所等が様々で,災害廃棄物等の処理を一律に行うことが難しく,災害発生後,対症療法的に対応しているのが現状である.本研究は,平成26年広島土砂災害と東日本大震災を対象として,災害廃棄物等の処理実態を分析することにより,特に発生頻度が高い中小規模災害の処理に関する課題と対応を明らかにすることを目的としている.分析結果から,計画の不断の見直し,現状把握と事前の備え,効率的な処理が重要であることを考察する.