2016 年 72 巻 5 号 p. I_201-I_211
空間を扱う経済均衡モデルでは,地域間交易に関する基準均衡データとして地域間産業連関表における地域間交易額を活用する.本稿では,細分化された空間スケールを対象にした社会資本整備効果分析を念頭に,地域間産業連関表の地域間交易額を代替するデータとして,物流センサス,道路交通センサス,民間企業が整備している企業間取引データの特性を整理・比較し代替時の課題について整理した.その結果,地域間産業連関表が整備されている9ブロックレベルでは,地域間産業連関表の金額シェアと物流センサスの件数シェア,企業間取引有無の集計シェアがそれぞれ相関の高いデータであるが,市町村レベルまで細分化された空間スケールに適用する際には,両データともに課題があり各課題への対応が必要であることを示した.