抄録
民主主義を採用するわが国では,世論に大きな影響を及ぼすマス・メディアの報道が,一定のバイアスが存在するか否かは極めて深刻な問題である.そのため,わが国の公共事業を含む公共政策についての報道に,そうしたバイアスが存在するか否かは,わが国の現実の公共事業,土木計画の在り様に決定的な影響を及ぼす.本研究では,日本の政策判断に間接的に一定の影響を持つアメリカ大統領の一般教書演説が,如何に報道されているかに着目し,公共事業を含む公共政策において,わが国のマス・メディアの報道が,如何なるバイアスを持っているのか,つまり如何なる形で事実からの乖離しているのかを分析した.その結果,イデオロギーによって報道のされやすさが大きく異なる様子が示唆された.