抄録
本研究では,地域の実情に即した津波避難計画の立案,また地域社会における関係主体間の円滑なリスクコミュニケーションの支援を目的に,避難訓練時のプローブデータを用いた避難行動シミュレーションの構築を行った.具体的には,2014年9月1日に室蘭市で実施された大規模地域避難訓練(室蘭シェイクアウト)において,GPSデバイスによる避難時の移動軌跡の観測及び避難に関する意識調査を行い,得られた結果をマルチエージェントモデルにおけるエージェントルールに組み込み,複数のシナリオ分析を行った.その結果,当該地区における避難行動の差異,また声掛け応答の有無で避難完了割合に13%の差が生じ,避難時における共助の重要性が評価された.