抄録
産業集積で生じる集積の経済が企業の生産性を高めるため,産業集積は大きな社会的関心を集めている.産業集積の形成を促す政策を立案したり,現象への理解を深める上で産業集積の実態把握を行うことが有益である.産業集積現象の実態把握手法に事業所が空間的に集中する領域を特定する集積領域検出手法がある.既存手法では集積領域は地理空間上で厳格に連結した領域であると仮定している.厳格な連結性を仮定して集積領域を検出すると,集積領域検出を通じた分析の結果が空間データの集計単位の設定に左右される可能性がある.本研究では統計物理学で用いられるポッツモデルに基づく厳格な連結性を仮定しない集積領域検出手法を提案する.1/2地域メッシュ単位の事業所数データを用いたケーススタディを通じて,本手法の有効性を示す.