抄録
本研究では,GPS測位値のような誤差を有する時系列観測を得たときに,その測位精度を表すモデルのパラメータをデータ適応的に推定する手法の有用性を示す.まず,測位精度を既往研究を援用してモデル化する.つぎに,一般状態空間モデルの枠組みにこのモデルを統合する.具体的には,ネットワーク上を移動する歩行者から取得される測位値に基づき,測位精度を歩行者位置,経路選択および移動速度と同時に逐次ベイズ推定する定式化を行った.仮想ネットワーク上から生起した擬似的な測位値への適用により推定精度を検証するとともに,従来手法との比較を通して提案手法の利点を示した.さらに,実空間上のデータにおいても,提案手法が機能することを確認した.