抄録
近年,開発途上国における自然災害後の復興計画策定において,ボトムアップ型のアプローチが注目を集めつつある.本論文では,2004年に発生したインド洋大津波災害被災地のインドネシア・アチェ州を対象に,ボトムアップ型の集落再建計画「ヴィレッジプラン」に焦点を当て,災害から約10年経過した現時点において,その計画の実現性を評価し,その実現性に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした.アチェ州内の5集落におけるヒアリング,アンケート調査の結果,計画の実現性は集落ごとに異なり,その要因は,(1) 役所によるインフラ・公共施設の整備・維持管理,(2) 住民の集落の整備・維持管理に対する自律性であることが明らかとなった.また自律性を高めるためには,住民の計画への認識,集落での交流の活性化など,環境づくりが必要である.