抄録
選挙に投票する政治意識の高い市民は,交通計画への関心が高く,交通調査への回答率が高い可能性がある.本研究では,投票率と交通調査参加率(回答率)との比較分析を行うことで,投票率データの交通調査手法論への活用可能性について検討することを目的とする.より具体的には,2012年度熊本PT調査の参加率と2013年参議院選挙などの投票率を比較する.まず,投票率も調査参加率も高齢者ほど高くなるという共通の傾向にあるが,65歳以下では男性より女性の値が高く,65歳以上では逆になるという傾向が共通していることが分かった.次に,投票所別の投票率とCゾーン単位の調査参加率を比較したところ,熊本市中央区では,この2つには強い相関があることが示された.また,調査参加選択モデルに投票率データを導入しモデルの説明力の向上を確認した.