2017 年 73 巻 5 号 p. I_1083-I_1092
東日本大震災後,やむを得ない場合での自動車避難が認可され,津波避難計画の見直しが必要となっている.避難計画の策定に際して,既存の道路インフラの下で安全に避難できる自動車の台数と道路インフラの効率的な活用パターンを確認できる最適化モデルが有用である.類似の既存研究では渋滞を発生させないという仮定を置く例が多いのに対し,本研究では安全な地域での渋滞が,津波遭遇リスクを低下させる効果を持つことに着目し,Cell-basedモデルをベースとするLPモデルを提案する.市町村レベルのネットワークにおいて,誘導を行わない状況下で住民が避難するケースや従来の時間最小化ケースとの比較を行い本モデルの特徴を示すとともに,交差点での誘導に関する制約条件を容易に付加できることを示す.