土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
73 巻 , 5 号
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土木計画学研究・論文集 第34巻(特集)
  • 横松 宗太
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_1-I_17
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    防災投資やインフラ整備の有効性は将来の経済成長によって担保される.便益の不均一性と費用負担の問題は不可分の関係にある.伝統的に土木計画や防災計画では,インパクトの長期性と分配の問題に関心を向けてきた.昨今の「成長と格差」論の高まりの中で,いま一度,これまでの議論を整理する必要がある.本稿では,災害とインフラストラクチャが,経済成長と格差に与える影響に関する論点の整理を行う.そして,土木計画学における今後の経済成長論や格差論への視点について考察する.
  • 小谷 仁務
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_19-I_33
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    地域資産である広場や商店街などの物理的特性が変わると,そこで行われる祭りなどの地域の共同行事の参加者の数や多様性も変わりうる.そして,それに伴い行事で新たな共同が生まれ,それを機に日常生活の交流も拡大することがある.これは地域資産の特性がもたらす価値と考えることができる.
    本稿は,既存のネットワーク形成モデルが地域資産の上記の機能を評価するには不十分であることを示した上で,筆者らが提案する,共同行事における交流と日常生活の交流を別の階層で表す階層型の社会ネットワーク形成モデルを紹介する.そして,地域資産の物理的特性の機能を定量的に評価できる可能性や本手法の課題を示す.以上を通じ,本稿は,社会ネットワークの形成過程に着目した地域資産の機能評価に関する方法論を開発していくための一つの方向性を示す.
  • 中村 一樹, 紀伊 雅敦
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_35-I_44
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    都市化と気候変動は相互に影響しており,都市住民の経済活動だけでなく,より多面的な幸福度にも大きく影響する.このため,気候変動の対策の受容性を高めるためには,国際的なスケールで都市化と気候変動の影響を考慮した幸福度の評価が有用となる.そこで,本研究では,都市化と気候変動の影響評価における国際機関の幸福度指標の適用性の現状と課題を整理することを目的とする.まずは,幸福度評価の文献レビューからその手法を整理する.続いて,都市化と気候変動と幸福度の関係の分析について文献レビューを行い,その影響メカニズムの主要素を特定する.最後に,複数の国際機関がデータベース化している各幸福度指標の特徴を把握し,都市化と気候変動の評価への適用における長所と短所を示す.
  • 小池 則満, 森田 匡俊, 服部 亜由未, 岩見 麻子, 倉橋 奨
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_45-I_55
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    海上における津波避難方法の一つに沖出し避難といわれるものがある.しかし,沖出し避難は十分な水深を得られない場所で津波が来襲すると大変危険な状況となる.一方で,港に戻る場合でも着岸場所や上陸後の避難場所を考えなくては間に合わない恐れがある.
    本研究では,船舶津波避難訓練によって避難時間や各情報伝達手段の現状について把握するとともに,ワークショップとアンケート調査を繰り返し実施して,避難方法についての課題と方向性を検討した.その結果を海上津波避難マップとしてとりまとめることができた.
  • 柿本 竜治, 上野 靖晃, 吉田 護
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_57-I_68
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    「自然災害に対するリスク認知が高くても,そのリスクへの防護行動を取らない」という自然災害リスク認知のパラドックスの存在が指摘されている.このパラドックスの存在は,自然災害リスクの認知を向上させるだけでは,防護行動を促すことが難しいことを意味する.これまでに,防護意図や防護行動の促進および阻害要因を抽出する研究は数多く行われているが,抽出された要因が防護意図や防護行動に与える影響は結果が異なっている.そこで本研究では,リスク認知のパラドックスの解消に向けて,同じ質問項目内容のアンケート調査を6地区で行い,個人の減災行動の地域性や共通性を検証した.その結果,非常持ち出し品の備えを促す上で,リスク認知改善よりむしろ反応コストに関する対処評価認知の改善が地域に共通して有効であることが示唆された.
  • 石原 凌河, 坪井 塑太郎, 照本 清峰
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_69-I_77
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,南海トラフ巨大地震において甚大な被害を受けることが想定される四国4県をケーススタディとして,孤立集落における重傷者数の空間分布を把握するとともに,ヘリコプターによる重傷者の搬送戦略を検討した.その結果,南海トラフ巨大地震が発生すれば,四国における孤立集落での重傷者は広く点在するとともに,孤立集落の重傷者を集落単位で搬送すれば膨大な日数を要することが明らかとなった.小学校区もしくは中学校区で搬送拠点を設定し,そこから大型ヘリと小型ヘリを組み合わせて重傷者を搬送することにより,迅速かつ効率的に搬送できることが示唆された.
  • 富山 嘉都, 寺部 慎太郎, 柳沼 秀樹, 康 楠
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_79-I_84
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    社会資本整備を計画する際,計画主体はパブリック・インボルブメントを取り入れることが多くなり,その過程で市民への情報伝達手段としてニュースレターをよく発行する.しかし,発行されるニュースレターの多くは単に文字情報を載せただけの,読み手の興味を喚起しないデザインであることが多い.そこで本研究では広報資料にインフォグラフィックを導入した効果を,アイカメラを用いて検証した.広報資料を閲覧しているときの視線データから相対瞳孔径,注視時間,注視回数を抽出し比較したところ,インフォグラフィックを導入したものの方が興味を惹いていることがわかった.
  • 坂本 真理子, 山中 英生, 澤田 俊明
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_85-I_94
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    協働のまちづくりの実践においては,多様なステークホルダーの利害を調整する調整役による調整機能が重要な鍵となっている.しかし,その実態は見えにくく,知見として整理されていない.本研究は,「実践のプロファイリング手法」を用い,立場や専門の異なる5名のプロファイルから,調整役機能を明らかにすることを目的としている.既存研究から調整役機能としての要素を抽出,整理し,立場も異なる5名のプロジェクト実践者のプロファイルから抽出した行動をあてはめ,整理することで,立場を超えた共通の調整役機能や立場による相違を分析した.その結果,すべての対象者が共通の活動目的に対し行動を起こしていたが,その行動の手法が異なることがわかった.すなわち,調整役機能にとって基礎的な要求事項が明らかになったと言える.
  • 石倉 智樹, 藤井 修平, 辻 裕之
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_95-I_103
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    都市における交通整備事業等の政策による,都市構造すなわち土地利用の変化と交通の変化との間に相互依存関係を考慮し,かつミクロ経済理論と整合的な政策評価手法として応用都市経済モデル(CUEM)が開発されている.しかし,既存のCUEMは,都市形成の要因となりうる集積外部性が考慮されていない.また,現実には一般的に土地と建物が個別に取引されているが,既存のCUEMは土地市場均衡のみを扱う構造が一般的である.そこで本研究は,集積外部性と建物床市場を考慮したCUEMを構築するとともに,数値実験を通じて既存のCUEMとの分析結果挙動の比較を行った.
  • 山口 裕通, 奥村 誠, 金田 穂高, 土生 恭祐
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_105-I_117
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    携帯電話位置情報は,大量の人々の移動情報を高頻度かつ継続的に取得している情報であり,災害時などの被災・行動状況をこれまでとは異なった視点からリアルタイムに把握できる可能性が高い.本研究では,「災害時に都市機能・人々の生活行動パターンがどのように低下し,回復してきたのか?」という情報に着目し,携帯電話位置情報からこれらの情報を得る方法を提案した.そしてこの方法を,平成28年熊本地震時の混雑統計®データに適用した結果,避難者数のデータともおおむね整合性が取れているもので,十分に災害時の情報を把握できることが確認された.この情報は,モニタリング・データ提供の体制を整備することで,リアルタイムに得ることが可能であり,外部からの支援物資の量や支援内容を検討する際に活用が期待できる.
  • 石神 孝裕, 二川 健吾, 屋井 鉄雄
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_119-I_128
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    自治体の各部局がある目的を達成するために取り組んでいる開発,施策,施設の立地誘導等は,他の視点から見ると負の影響が及ぶ可能性がある.各部局が開発等を構想する時点で,多視点で影響を簡易的に想定できるようになれば,影響が及ぶであろう他の部局とともにその対策を検討する動機となり,結果的に部局横断的に整合性が確保された開発等となることが期待される.
    本稿では,開発等の影響を多視点で評価する仕組みを検討し,実際の都市で試行を行った.そして,各部局の行政実務担当者に対するアンケート調査の結果から,開発等を他視点で評価することに対する重要性が認識されていること,評価指標に対する各部局の反応から各課を横断的に巻き込んだ評価づくりが重要であることを指摘した.
  • 北村 友叡, 石塚 正秀, 紀伊 雅敦, 林 礼美, 津田 守正, 中村 一樹
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_129-I_136
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    世界全体の人口は増加傾向にあり,とくに都市部への人口集中が進むと予想されている.人が生活する上で水は必要不可欠であり,都市人口の増加により,都市で利用される水量の増加が考えられ,水ストレスが高まると危惧される.これまでの研究において,国や大州,流域単位の水ストレス度は示されているが,都市の水ストレス度に着目した研究はない.本研究では,都市が抱える河川流域(後背流域)の流域面積を考慮した「都市流域内人口密度」を定義し,都市における水ストレス度を算出した.イスラエルを対象とした結果,都市毎に水ストレス度を算出することにより,国単位で算出した結果と比べて,水ストレス度が約1.4~5.6倍に高まる結果が得られ,都市流域内人口密度の有用性が示された.
  • 佐藤 英治, 澤田 晃二, 澤田 俊明, 磯打 千雅子, 岩原 廣彦, 白木 渡, 井面 仁志, 高橋 亨輔, 白川 豪人, 猪熊 敬三
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_137-I_146
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    近年,気候変動に起因する大規模水害が全国各地で発生し,その適応策の策定・推進が急務となっている.香川県中讃地区(土器川流域)では,2013年から,地域連携によるワークショップを軸とした大規模水害対策について検討を実施している.大規模水害発生時には,地域継続の観点から地域で一体となった対応が求められ,地域機能を維持するための地域継続計画(DCP:District Continuity Plan)の検討が必要である.土器川においては,全国に先駆けてDCP策定を目指して行政と住民が連携して取り組んでいる.
    本研究では,土器川でこれまで実施してきた検討プロセスを整理し,特徴を抽出するとともに,作成されたアクションプラン(行動計画)の実践による地域防災力向上の可能性を考察した.
  • 小池 淳司, 宮本 佳直, 右近 崇
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_147-I_161
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本稿では,交通施設の損壊という短期的な被害を入力条件としてシナリオ下における地域間所要時間の変化を算出する交通モデルと,地域間所要時間の変化に反応して経済被害額を算出する経済モデルの2種類のサブモデルを組み合わせることにより,短期的経済被害計測モデルを構築した.中京都市圏を対象に南海トラフ地震を想定した事例分析を行った結果,インフラ施設の損壊により産業別・地域別それぞれにおいて中間財や労働供給量の減少といった複合的な被災要因によって被害が生じることが示唆された.また,復旧シミュレーション分析および在庫を考慮した経済影響分析から,効率的な復興のためには復旧タイミング・地域特性・被災要因といった複数の要素を勘案した包括的な対策が講じられるべきである,という結論を得た.
  • 武藤 慎一, 宮下 光宏, 右近 崇, 水谷 洋輔, 猪狩 祥平
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_163-I_181
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    交通基盤整備は時間短縮等による直接効果以外にも,家計や企業の立地増加,新たな雇用の創出,企業生産や家計所得の拡大など,いわゆる間接効果を生み出す.このうち立地への影響を考慮した評価を行うため,応用都市経済(CUE)モデルを用いた研究が進められてきた.しかし,それらは土地市場のみを考慮したものであること,ロジットモデルが必ずしも整合性なく立地モデルとして用いられているなど問題があった.そこで本研究は,一般均衡型CUEモデルを開発しそれらの問題を解消した上で,名古屋都市圏の環状道路整備評価を実施した.その結果,環状道路の立地への影響だけでなく,雇用創出や企業生産の拡大などの影響が最終的に家計の実質所得をどれだけ増大させたのかを便益により計測できた.
  • 西宮 宜昭, 花岡 伸也, 眞田 明子
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_183-I_194
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル 認証あり
    開発援助による平和構築プロジェクトでは,紛争影響地域のインフラ復興が重視されている.しかし,インフラ整備過程の平和構築推進に対する効果,特に社会面での復興に対する効果,また平和構築以外のプロジェクトと比較したその効果発現の差異について,いずれも十分に分析されていない.本研究では,国際協力機構が実施したプロジェクトを事例とし,社会面の効果としてエンパワーメント発現に着目して分析を行った.その結果,平和構築と平和構築以外のプロジェクト双方で,インフラ整備過程の特徴が要因となりエンパワーメント効果が発現していること,また両者の効果の違いがあること,さらに平和構築プロジェクトではソーシャルキャピタル改善による特有の効果があることを明らかにした.
  • 小池 淳司, 奥村 亮太
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_195-I_214
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本稿では,まず交通整備水準と生産性分析に関する既存研究を6つの視点で分類し,計測手法の多様性と交通整備水準の影響に関する見解の不一致を確認した.また,実証分析では交通整備水準との相関関係を見る上で必要な全要素生産性(TFP)の計測において1時点の労働分配率を用いる場合とその分配率を時系列・クロスセクションデータから推定する場合の2つの方法を用いた.その2つを比較すると,同じデータセットにも関わらずTFPの計測方法の違いによって交通整備水準の影響が異なることが分かった.そのため,今後の実証分析の結果を適切に理解するためには,交通整備水準と生産性分析に関して計測手法が影響することを十分に理解し,その影響を判断すると共に,より一般的には標準的な交通整備水準の生産性への影響計測マニュアルの整備が必要である.
  • 杉下 佳辰, 朝倉 康夫
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_215-I_223
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    インフラストラクチャーのような相互依存性を有するシステムにおいては,ひとつのシステム内の局所的な障害による影響が複数のシステムに波及し,大規模な障害に発展する現象(カスケード故障)が発生する恐れがある.本研究では,電力網と通信網の相互依存関係を想定したモデルを拡張し,フローを考慮した過負荷による故障と依存性を考慮した故障を表現し,相互依存ネットワークにおけるカスケード故障のシミュレーションモデルを構築した.2003年のイタリア大停電を背景とした条件をモデルに入力して数値計算を行った結果,単体の場合に頑健なネットワークであっても,相互依存性によって脆弱性が大きく増大する危険性があることが示唆された.ネットワークの脆弱性を適切に評価するためには,相互依存性による影響を考慮することが必要不可欠である.
  • Chawis BOONMEE, Naotaka IKUTOMI, Takumi ASADA, Mikiharu ARIMURA
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_225-I_240
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    Due to an increasing severity of recent disasters, shelter site selection and evacuation planning have become an essential function for the purpose of helping at-risk persons to avoid or recover from the effect of a disaster. Therefore, this study aims to propose an integrated mathematical optimization and fuzzy analytic hierarchy process for shelter site selection and evacuation planning. The mathematical models are formulated under different constraints and model types, in which the objective of each mathematical model is to minimize the total travel distance. The mathematical models are coded and run in optimizer tool for creating plans. Then, Fuzzy Analytic Hierarchy Process is applied to choose the appropriate plan under uncertainty and vagueness of the expert's opinion. A numerical example with a real case study of a Banta municipality in Thailand is given to demonstrate the application of our conceptual model. This study will be great significance in helping decision makers consider placement of emergency shelters and evacuation planning with respect to both qualitative and quantitative measurement. Moreover, our study can be a guide of the methodology to be implemented to other problems as well.
  • 佐藤 史弥, 南 正昭, 谷本 真佑
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_241-I_251
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    東日本大震災の被災地では,復興に伴う土地利用,交通インフラ,津波避難路等の新たな整備に伴い,津波からの避難環境が震災前に比べて大きく変化している.津波からの避難の場合,最寄りの1次避難場所へ直接避難する経路が,必ずしも津波浸水域を早く脱出できるとは限らない.最寄りの1次避難場所に直接避難するより,最短経路で浸水域外に避難する方が,来襲する津波からいち早く逃れるこができると考えられる.そこで本研究では陸前高田市を対象とし,まず津波浸水域外に脱出し,その後1次避難場所に避難する方法の有効性について分析した.震災前と復興事業完了後の津波避難経路の距離や標高の分析を通して,津波浸水域外に脱出し1次避難場所へ避難する方法の適用性を明らかにした.
  • Chawis BOONMEE, Takumi ASADA, Mikiharu ARIMURA
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_253-I_267
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    Evacuation planning and shelter site selection are the most important function of disaster management for the purpose of helping at-risk persons to avoid or recover from the effect of a disaster. This study aims to propose a stochastic linear mixed-integer mathematical programming model for improving flood evacuation planning and shelter site selection under a hierarchical evacuation concept. The hierarchical evacuation concept is applied in this study that balances the preparedness and risk despite the uncertainties of flood events. This study considers the distribution of shelter sites and communities, evacuee's behavior, utilization of shelter and capacity restrictions of the shelter by minimizing total population-weighted travel distance. We conduct computational experiments to illustrate how the proposed methodical model works on a real case problem in which we proposed Thai flooding case study. Also, we perform a sensitivity analysis on the parameters of the mentioned mathematical model and discuss our finding. This study will be a great significance in helping policymakers consider the spatial aspect of the strategic placement of flood shelters and evacuation planning under uncertainties of flood scenarios.
  • 末廣 真道, 岸 邦宏, 岩舘 慶多, 中辻 隆
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_269-I_280
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究では食料供給機能としての北海道の道路ネットワークと食品関連産業のサプライチェーンに着目し,日々安定的な食料供給を行っている道路を定量的に評価した.各種統計を用いて開発した先行研究の食料ODをベースに,新たに構築した北海道物流における高速道路選択モデルと従来の最短経路探索法(Dijkstra法)を道路ネットワーク上への配分に適用させたことで,食料輸送経路の定量的表現を可能とした.さらに生産地から加工場へと輸送される流通段階(FtoP)に焦点を当て,災害等を起因とした道路不通の経済的影響をサプライチェーンの前方連関効果に着目し,道路リンクごとに分析を行っている.北海道の地域特性である食料産業の経済活動の観点から,強靭な道路ネットワークの整備に向けた重要な区間を明らかにするための一評価手法を提案した.
  • 大澤 脩司, 中山 晶一朗, 藤生 慎, 高山 純一, 溝上 章志
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_281-I_289
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    自然災害が発生すると,それに伴う道路被害の発生によって様々な影響が生じる.被災者の早期の生活再建,被災地の復旧・復興のためには,これら被災道路を効果的に復旧していくことが重要である.本研究では自然災害による被災道路網の復旧戦略策定のための道路網評価手法として,ポテンシャル型アクセシビリティ指標に着目した手法を提案し,平成28年熊本地震で被災した熊本都市圏道路ネットワークを対象に,その手法の適用性を検討した.その結果,享受可能なサービスの機会数を反映した被災道路の復旧順位を設定できる可能性が示された.
  • 浅野 周平, 大森 宣暁, 長田 哲平
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_291-I_299
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    近年,地方都市では,商店街の衰退や大規模小売店舗の郊外立地により,店舗へのアクセシビリティに格差が生じており,人々の生活上の負担になることが懸念される.そこで,本研究では日常生活に欠かせない食料品店に着目し,食料品の買い物に関するアンケート調査を通して個人の買い物行動の実態を詳細に把握する.その上で,アンケート調査の結果に基づき,個人の店舗選択行動を考慮した,買い物アクセシビリティを評価することを本研究の目的とする.ここでは,ケーススタディとして栃木県宇都宮市を対象に,店舗立地の変化による買い物アクセシビリティの時系列変化を評価した.これにより,宇都宮市では買い物アクセシビリティが経年的に向上していることを明らかにするとともに,市街化区域内外での買い物アクセシビリティの格差を定量的に示した.
  • 高橋 昌也, 毛利 雄一, 森尾 淳, 河上 翔太, 寺部 慎太郎
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_301-I_308
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    現在,我が国の地方公共団体においては,少子高齢化や産業・雇用創出,社会インフラの老朽化等の影響により,都市財政は厳しい状況となっている.このような都市財政の問題は,地方部の都市で注目されてきたが,市街地の拡大の影響を受けてきた首都圏の郊外部においても,同様な課題を抱えている.そのため,首都圏においても,行政サービス水準の確保を図るとともに,将来を見据えた都市財政のための対策を先行的に計画,実施していくことが求められる.
    本研究では,首都圏を対象とした地方公共団体における財政指標と社会経済データを用いて,都市財政の実態とその特性を分析するとともに,将来の都市財政の推計によるシミュレーション分析,野田市をケーススタディとした縮退の検討を通じて,今後の都市財政の改善に向けた政策展開を示す.
  • 大西 正光, 村上 武士, Wu Peiwei, 小林 潔司
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_309-I_322
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    水道コンセッション事業の経済的価値は,主に水道料金及び水道の接続数(普及率)に依存する.政府が契約条件として望ましい水道料金及び接続数を設定するためには,民間事業者が有する技術に関する情報を有しておく必要がある.政府が技術に関する十分な情報を有していない場合には,技術提案型入札が適用される場合も少なくない.本研究では,技術提案型入札の下での最低単価落札方式と最大接続数落札方式という2つの落札方式の経済的帰結を理論的に分析する.さらに,水道コンセッション事業では,しばしば事後的に初期契約の見直しが行われることを指摘する.その上で,事業者の戦略的ホールドアップ行動の帰結を分析し,各落札方式の得失について考察する.
  • 南 貴大, 藤生 慎, 中山 晶一朗, 高山 純一
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_323-I_330
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    高度経済成長期に一斉に建設された橋梁が耐用年数を迎え,架け替えや長寿命化の検討がなされている.このような中,自治体では5年に1度の頻度で定期点検を行うことで予防保全的な維持管理を目指している.しかし維持管理で扱う予算には限りがあるため,補修の優先度を決定する必要がある.橋梁が置かれている環境条件は異なっているため,健全度の低下速度が異なる可能性がある.既存の補修の優先度決定手法には健全度と重要度のみを考慮して環境要因が考慮されていないものが少なくない.本研究では,石川県が管理する橋梁のうち供用年数20年以上のコンクリート桁を対象とし,数量化理論I類を用いて劣化に影響を与える環境要因について分析を行った.その結果,供用年数によって劣化速度や劣化速度に影響を与える要因が異なることが分かった.
  • 青木 達也
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_331-I_344
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究は足尾銅山の通洞地区にある選鉱所について,明治から大正前期の時代までの変遷と関連遺構を明らかにしようとするものである.既往の二次史料に加えて,このたび実施した史料調査によって得られた一次史料の内容を考証した結果,これまで明らかとなっていなかった通洞選鉱所の創業年代や移転年代およびそれらの位置のほか,有越索道,新梨子竪坑,新梨子斜坑,足尾鉄道との関係も明らかにすることができた.さらにこの知見に基づき遺構の残存状況を調査した結果,施設が存在していた箇所を推定するとともに残存状況を把握することができた.本研究で纏められた成果が今後の詳細調査へと引き継がれれば,これまで困難とされていた通洞選鉱所の産業遺産としての価値づけが可能になる.
  • 森本 瑛士, 赤星 健太郎, 結城 勲, 河内 健, 谷口 守
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_345-I_354
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    現在日本において人口減少社会に対応した「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画が進んでいる.また地方分権の進展とともに市町村単位の都市計画が進められているが,その計画は広域的な視点から見たときの整合性(広域的整合性)を確保できているか疑問が残る.本研究は市町村における都市計画が広域的整合性を確保できているのか把握することを目的とする.具体的な方法として,市町村MPで記載されている将来都市構造図に着目し,県域レベルの市町村MP連結図を作成することで都市計画の広域的整合性を把握した.作成した連結図から,市町村の「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画は広域的整合性を確保できておらず,各市町村MPが断片化していることを明らかにし,各市町村で都市計画を一致させる必要性を示唆した.
  • 崔 文竹, 森 英高, 谷口 綾子, 谷口 守
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_355-I_366
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    近年,国民の健康状態を向上させるため,生活習慣病の予防や心身機能の維持・改善に繋がる居住・社会環境の整備が提唱されている.本研究では地域環境等の諸要因と,心身の健康状態の因果関係を明らかにすることを目的する.なおwebアンケート調査を実施し,身体的・心理的健康状態に対する自身の評価の他に,地域環境に対する評価・生活習慣及び個人属性等を質問している.その中でも,BMIと健康関連QOLそれぞれを身体的健康状態・心理的健康状態の代理指標とし,その実態を定量的に把握した.また,地理情報を加えて因果関係モデルを作成した.その結果,地域環境として公共交通と公園の整備が心身の健康状態に間接的に影響を与えることが明らかとなった.また,健康に関する意識が心身の健康状態の向上に間接的な影響があるという結果が得られた.
  • 谷本 圭志, 山口 博哉
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_367-I_377
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    わが国では大卒者の地方から都市部への人口流出が多く,大学生の地元定着が大きな課題である.既に,多くの自治体で地元定着を促す政策がなされているが,有効な政策は自身の地域の現状を把握しなくては立案できない.そこで本研究では,各都道府県の見込み就職者数を導くためのモデルを開発し,これを用いて各地域の現状を評価する手法を提示する.また,見込み就職者数と実際の就職者数の乖離に影響する地域の特性を特定することで,地元定着を促進するための方向性を示す.
  • 越川 知紘, 菊池 雅彦, 谷口 守
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_379-I_388
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    コンパクトシティ政策の推進には自治体担当者の意識改善が重要である.既にワンショット型レクチャー(OL)の有効性が検証されているが,本研究ではOLの効果をより詳細に把握するため,自治体の都市計画担当者にコンパクトシティ政策に関する意識調査を行い,受容性と担当者の個人属性・政策の実現に向けた障害との関係性を分析した.その結果,1)受容性の低い担当者は予算や専門的知識等を障害と考えており,コンパクトシティ政策に関する基礎的な情報提供で大きな改善が見られたこと,2)元々受容性が高い担当者は改善の変化が小さく,市民の無理解や部署間の調整等の現場の課題を障害と考えていたこと,3)OLを実施しても受容性が改善されない担当者は議員の反対や人手不足等の現場の具体的な課題を障害と考えていたこと等が明らかになった.
  • 山根 優生, 森本 瑛士, 谷口 守
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_389-I_398
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    国土計画における「コンパクト+ネットワーク」政策の下,非都市部における生活の持続可能性を担保するために始まった小さな拠点形成に対し,選定の統一的基準は政府から未だ示されていない.本研究は客観的な小さな拠点選定を可能とするため,その選定手法を提案した上で,小さな拠点選定の試行を行った.その結果,選定基準に施設立地等「モノ」に加え住民活動等「コト」を採用する可能性を示した上で,選定基準の違いが小さな拠点選定結果を変化させ施設立地や機能の面で多義性を生じさせることを明らかにした.特に「交通ネットワーク」に着目するとその改善が全ての小さな拠点に福音をもたらすのではなくむしろ選別が進むという,「コンパクト+ネットワーク」政策上のパラドクスの存在可能性を指摘した.
  • 今井 悠貴, 寺部 慎太郎, 康 楠
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_399-I_405
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    近年,都市を活性化させるための手段として観光産業が注目されている.本論文では,ご当地グルメを観光資源として活用する場合に,その店舗配置を定量的に把握する方法を検討した.筆者らは,先行研究に引き続き,ご当地グルメによる地域活性化には,そのご当地料理を提供する店舗の空間的配置が影響するのではないかと考えたので,全国の都市のご当地グルメ店舗データを空間統計学を用いて分析した.その結果,多くの都市でご当地グルメ店舗は空間的にランダムに立地するのではないこと,その立地は一か所に集まって立地する場合やある程度離れて立地する場合,さらに複数の場所に集まって立地する場合の3通りに分類できること,さらにその結果から,類似した店舗配置を示す都市群を比較分類できること,が明らかになった.
  • 福山 敬, 桑野 将司, 高橋 明日美, 大平 悠季, 太田 はるか
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_407-I_419
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    国が掲げる「定住自立圏構想」や「コンパクト・プラス・ネットワーク」などの施策は,地方都市の中心部における人口(密度)および都市機能を保持しつつ,周辺の生活拠点からの交通アクセスを確保することで,地方都市生活圏全体の生活サービス水準の維持を目指している.本研究では,鳥取市を中心とした地方都市生活圏である鳥取県東部圏域を事例として,人口増加の最終局面から人口減少の初期局面である平成12年から平成22年の人口分布と居住地分布の推移を明らかにする.特に,地方都市の中心部および周辺居住地区ごとの生活拠点内施設への近接性の状況の変化と交通網や生活関連施設の整備状況との関係性を明らかにすることで,今後の地方都市生活圏の維持施策への含意を得ることを目的とする.
  • 鈴木 雄, 日野 智, 佐藤 聡太
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_421-I_431
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,高齢者の健康活動の質の向上のための都市・交通政策についての分析を行った.ここでいう健康活動の質とは,高齢者が楽しみながら健康活動を行えているかどうかである.高齢者が身体機能の維持のために,自宅の廊下をひたすら歩いているといったことも指摘されている.健康活動とは,身体的機能の維持や向上のみならず,誰かと一緒に活動を行うことで会話が増えたり,心のゆとりやリフレッシュにつながるべきものだと考える.本研究では,秋田県秋田市の高齢者に対し意識調査を行った.分析の結果,楽しんで健康活動を行うことで気分転換になることや,人と話す機会が増えることなどの効果があることが明らかとなった.また,高齢者が楽しんで健康活動を行うための都市・交通施策についても明らかとした.
  • 神原 明里, SETIAWAN Irwan, 羽鳥 剛史
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_433-I_443
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    全国の多くの自治体において,公共施設の老朽化や更新・修繕費に係わる予算不足を背景として,公共施設の総合管理計画の策定が進められている.公共施設の統廃合やそれに伴う施設削減を実施する上では,地域住民からの賛同を得られるか否かが重要な課題となる.この認識の下,本研究では,公共施設統廃合による施設削減に対する地域住民の受容意向を把握すると共に,社会心理学等の知見を踏まえて,その規定要因を実証的に検討することを目的とした.その結果,公共施設の削減に対してどのような条件でも受け入れられないと回答した人において,公共施設の統廃合に関わる論点認知が高く,行政を信頼すると共に,地域愛着や帰属意識が高い傾向が見られた.本結果を踏まえて,公共施設の統廃合に関わる合意形成を進める上での方策や課題について考察した.
  • 秋山 孝正, 井ノ口 弘昭
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_445-I_452
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    健康まちづくりのプロジェクトにおいては,市民の自律的な健康づくりが期待されている.本研究では,現実の健康まちづくりプロジェクトに関係する吹田市民に対してアンケート調査を実施した.全般的な市民意識において健康まちづくりプロジェクトに対する協力意識は比較的高いが,議論への参加意向は小さいことがわかった.つぎに,居住地域に基づく市民意識の相違を分析する.これより,同一市域内であっても,健康まちづくりプロジェクト地区と居住地域の空間的関係,あるいは市民生活様式の相違から,市民の協力・参加意識を分類できることがわかった.最終的にプロジェクトのフューチャーデザインとして,ニューラルネットワークを用いて市民意識の推計モデル作成した.これより健康政策のインパクトを評価できることがわかった.
  • 森崎 裕磨, 藤生 慎, 高山 純一, 中山 晶一朗, 柳原 清子, 西野 辰哉, 寒河江 雅彦, 平子 紘平
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_453-I_466
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    我が国で著しく進行する高齢化に伴い,国民医療費の増加が問題となっている.国民医療費増加の抑制には,健康上問題のない期間である健康寿命の延伸が考えられ,各自治体で働く保健師は,健康寿命延伸を目指した保健指導を行っている.しかし,現状として,保健師にとって地域の詳細な健康状態の把握は困難であり,各地域に適した保健指導の提案がなされていないケースが多い.本研究では,国保データベースを活用し,地域の健康状態の把握,健康課題の抽出を行う.そして,明らかとなった健康課題に対して,データに基づく各地域に適した効率的な保健指導(処方箋)の提案が可能であるのか検討を行った.検討の結果,国保データベースの活用により,実際のデータヘルス計画に反映可能な処方箋の作成が可能であることが明らかとなった.
  • 武藤 慎一, 水野 佑実, 澤田 茜, 佐々木 邦明
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_467-I_481
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    山梨では,ワインが貴重な地域観光資源として注目されているが,それを十分には活かしきれていないのが現状である.そのような中,2008年から「ワインツーリズムやまなし」が開催され,今では2,500人ほどの参加者が集まる規模となっている.ワインツーリズムの開催は,直接あるいは間接的にワイン消費を増加させ,さらに飲食や宿泊などの付随サービス消費も生じさせる.本研究では,ワインツーリズムがもたらす各消費の増大による経済効果を,経済波及的な影響も含めて計測可能な経済モデルを構築した.具体的には,旅行・観光サテライト勘定(TSA)を組み込んだ空間的応用一般均衡(SCGE)モデルを開発し,それを用いてワインツーリズムやまなしの経済効果の計測を行った.
  • 生越 拓実, 有村 幹治, 浅田 拓海
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_483-I_491
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    近年,コンパクトシティ政策等の都市施策に関する計画情報の一つとして,マイクロジオデータの活用が注目されている.本研究では,モバイル空間統計および都市計画基礎調査の2つのマイクロジオデータを統合的に用い,RBFネットワークにより,空間的な分析解像度をダウンスケールしながら時間帯別入込人口を推定する手法を開発した.具体的には,3次メッシュスケールで集計した建物用途別延床面積から各メッシュの入込人口を推定するモデルを構築し,そのモデルを用いて,4次メッシュスケールでの入込人口推計を行った.本手法により得られた詳細な入込人口分布を空間的に可視化することで,3次スケーリングでは困難であった細かい箇所毎の入込人口分布を把握することが可能となった.
  • 桑原 雅夫, 井料 美帆
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_493-I_505
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,古の都である平安京について,人々の移動パターンと貴族の動きを定量的に解析し,考察を加えたものである.平安京については,道路ネットワークの構造や道幅など幾何構造に関することは,よく知られているものの,その中で人々がどこに立地し,どのように移動していたのかについては,ほとんど調査分析が行われていない.本研究では,まず平安京やその前の律令時代の文献に基づいて,平安京の土地利用,身分別の住居の分布を推定した.次に,土地利用や住居分布に基づいてOD交通量を推定して交通量配分を行い,平安京街路の交通量について考察を行った.また,特権階級であった少数の貴族については,一般の庶民や役人の動きとは異なることから,別途に藤原実資の小右記に基づいて再現した.
  • 紀伊 雅敦, 横田 彩加, 高 震宇, 中村 一樹
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_507-I_515
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究は共有型完全自動運転(LV5)車両の普及モデルを構築し,車両価格,都市半径,人口,走行速度が普及に与える影響を分析した.その結果,1) 共有型LV5車両は,個人所有の従来型車両の10倍以上の費用でも普及しうること,2) 普及には車両費用のみならず,都市半径と走行速度も影響し,都市半径が小さく,走行速度が高いほど普及率が高まること,3) 都市人口は普及率に影響しないこと,4) 車両費用が高くても半径の小さいコンパクトな都市では普及率が高くなりうることが示された.以上より,システム価格の高い初期段階では,空間的にコンパクトな小都市やエリア限定での導入が普及率を高める上で効果的であり,車両費用の低下に応じた大都市への展開やサービスエリアの拡大が,普及率の向上には効率的なことが示唆された.
  • 瀬尾 亨, 日下部 貴彦, 朝倉 康夫
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_517-I_526
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    プローブパーソン(PP)調査はGPS等により交通行動情報を自動収集するため,交通行動調査の長期間化や精度向上につながると期待されている.しかし,トリップ目的は自動収集情報のみからは判別不能であり,被験者の手入力負荷の小さい調査は依然難しい.本研究は,トリップ目的を半自動的に収集し,かつ事前情報に頼らないPP調査として,被験者の手入力による部分的な回答と,それに基づく逐次的な機械学習による目的推定を組み合わせた「対話学習型PP調査」を提案する.その結果,調査の進展とともに規則的トリップは自動で推定されるようになり被験者の回答負荷が低減される一方,不規則トリップは手入力回答により高精度に把握可能と考えられる.定式化した手法を既存PP調査結果上で再現し,その性質を検証した.
  • 関谷 浩孝, 萩野 保克, 剣持 健, 前田 雅人, 田名部 淳
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_527-I_536
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    輸送事業者へのヒアリング調査で把握した「経路選択時に考慮する事項」と「実際の走行経路」の分析結果から,道路の幅・車線数といった「単路部の構造規格」と「交差点の構造規格」が経路選択に与える影響が大きいことを明らかにした.この結果をもとに「車線数」及び「交差点の構造規格」を説明変数とする経路選択モデルを定式化し,重複率最大化モデルによりパラメータ推定を行った.「車線数のみを説明変数とするモデル」や「最小時間経路探索モデル」との比較を行うことにより,経路選択モデルで「交差点の構造規格」を考慮すると「正しく推計できる走行区間長」が1.8倍になるなど,経路の推計精度が向上することを定量的に示した.
  • 森本 瑛士, 大森 宣暁, 菅野 健, 長田 哲平
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_537-I_547
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    近年,地方都市において人口の自然減に加えて若年層の社会減が問題となっている.一方,スマートフォンの普及や都市機能の集約化の動きは,人々の余暇環境を変化させているものと考えられる.本研究は,若者の地方都市への地域定着や都市機能集約化を視野に,首都圏における20代~40代の就業者の余暇活動の実態と意識を明らかにすることを目的とする.分析の結果,娯楽・文化活動の量を増やしたい若者が多く,余暇活動を行うための施設数に対する満足度が北関東では低いことがわかった.また,余暇活動の種類に応じて,年齢,居住地,性別,婚姻関係や交際相手の有無,子供の有無や年齢などの個人属性が余暇活動の頻度,消費金額,場所に与える影響が異なることがわかり,地方都市への地域定着を視野に入れた余暇活動機会の提供に関する示唆を得た.
  • 中西 航, 布施 孝志
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_549-I_557
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    歩行者行動の高解像度な把握により街路上の施設配置の高度化などが見込まれる.一般に,高解像度に捉えた歩行軌跡は道路ネットワークの真上には存在しない.しかし,ネットワークに測位値を吸着させる従来のマップマッチング手法は,軌跡をネットワーク上に復元することが前提であるという課題を有する.そこで本研究では,ネットワークが有する誤差を連続空間上で明示的に考慮する手法を提案する.歩行軌跡のネットワークからのずれを潜在変数と捉え,これをGNSS測位値により測位誤差を考慮しながら逐次推定する手法である.誤差を有する観測から,ネットワーク上で移動を記述でき,かつ実際の位置をネットワーク上に限定しない軌跡を得る定式化を行うとともに,複数の設定におけるシミュレーションデータへの適用を通し,その有用性を示した.
  • 鈴木 弘司, 竹村 亮佑
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_559-I_568
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,沿岸観光地を自動車で走行中に南海トラフ巨大地震が発生したときの想定避難行動に着目し,アンケートデータにもとづき,回答者の個人属性,災害に対する意識,事前情報の有無との関係性について分析を行ったものである.沿岸観光地における想定避難行動に関する統計的分析を行った結果,事前情報を与えて地震に対して津波災害を連想させることで早期に避難する意識を高めることができるが,同時に自動車での避難を誘発する傾向があることがわかった.また,内陸に住む沿岸観光客は早期避難に対する意識が低い傾向がみられたため,事前情報の提供や災害に関する知識の周知により早期避難意識を醸成させること,加えて観光施設等での徒歩避難を促す情報提供が必要であることを明らかにした.
  • 桑野 将司, 木下 礼央, 福山 敬, 谷本 圭志, 菅原 一孔, 川村 尚生
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_569-I_578
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    鳥取県では,鳥取大学で開発された経路検索サービスであるバスネットが導入されている.バスネットには,ログデータとして,利用者の指定出発地,指定目的地,指定日時などの起終点情報を含む移動希望に関する情報が含まれている.本研究では経路検索システムに蓄積された利用者の検索行動を移動希望と定義し,移動希望からの交通特性の分析を試みる.具体的には,2014年10月,11月の2か月間の鳥取市における検索履歴を対象に非負値テンソル因子分解を用いて,出発地,目的地,曜日,検索時間帯別の移動希望の特徴を抽出する.分析の結果,鳥取市中心部から郊外部への移動希望における,平日と休日での外出希望時間帯に違いがあることや,鳥取市中心部の通勤・通学時の移動希望が特徴的であることなどの交通特性が抽出された.
  • 澤田 茜, 川辺 拓哉, 白須 瑛紀, 佐々木 邦明
    2017 年 73 巻 5 号 p. I_579-I_588
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,一日の活動を再現しトリップの連関性を考慮できるアクティビティシミュレーションと,近年その種類と量が飛躍的に増加している交通状態の直接・間接の観測データを用いて,低コストでより精度の高い政策評価や需要予測を可能とするOD推計手法の提案を行うことである.最初に甲府都市圏パーソントリップ調査を用いてツアーベースの行動モデルを構築し,マイクロシミュレーションによりOD推計を行い,目的地選択の精度が低いという問題点を確認した.そこでOD分布を状態変数としてシミュレーションで予測を行い,その観測データとしてPT調査の観測ODを用いてパーティクルフィルタを援用したフィルタリングを行い,アクティビティモデルの課題の一つであるOD推計改善と観測データ活用の可能性を示した.
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