2017 年 73 巻 5 号 p. I_1119-I_1128
通行権・利用権取引制度などの交通サービスのオークションシステムや予約システムにおいて,サービス供給者が利用者の顕在化していない移動需要を把握することは重要である.しかし,オークションや予約システムなどにおいて,利用者に自身の移動需要を表明してもらう方法(表明メカニズム)の違いが,最終的に表明される利用者の移動需要に大きな影響を与える可能性が存在する.そこで,本研究では,実験的アプローチに基づき,表明メカニズムの違いが利用者の選好表明に与える影響と,メカニズムデザインの出力結果(利用者割当,社会的厚生,サービス価格)に与える影響を分析する.これらの結果をもとに,選好誘出メカニズムの導入が,選好表明数や表明された支払い意思額に正の影響を与え,メカニズムデザインの出力を改善することを実証的に示す.