2017 年 73 巻 5 号 p. I_791-I_798
台湾初のLRTプロジェクトが高雄市において2019年の全線開業を目指して進められている.計画から全線開業まで19年間を要する一大プロジェクトである.建設に長期間を要したのは,事業化の段階で民間投資に適したプロジェクト組成ができなかったことが一因であった.そこで,本研究は高雄LRTの事業計画の資金計画に着目し,事業推進上の課題を抽出すると共に課題への対応策を解明することを目的とする.その結果,事業費増加による高雄市の財政負担増,事業収入の低下といった課題が明らかになった.このような課題に対して,中央政府による公的な補助制度,開発利益還元施策や都市政策との連携による利便性の高いまちづくり促進など日本においても学ぶべき知見が得られた.