2017 年 73 巻 5 号 p. I_809-I_818
本研究は,都市鉄道ネットワークを対象に複数のリンクが途絶した場合の脆弱性を評価する手法を考案し,首都直下地震の発生を想定した評価を行った.具体的には内閣府の首都直下地震モデル検討会が公表している震度分布データ(14ケース)を基に,一定震度以上の地域にある高架橋及び橋梁を含むリンクが途絶した場合の脆弱性指標値を算出した.その結果,都心部直下や周辺部を震源とするケースで指標値が高い,すなわち途絶した場合の利用者への影響が大きいことが示された.また,リンク途絶により目的地へ移動不可能となるOD交通量の割合をケースごとに算出した結果,全体的に途絶リンクの周辺ゾーンでは不可能な割合が高く,特に鉄道ネットワークの密度が相対的に低い郊外部においては,途絶リンクが少数であっても割合が高くなる傾向がみられた.