抄録
舗装改良・夜間の視認性向上といったハード面での事故対策に加え,近年では安全運転教育・啓発活動といったソフト面での対策が高速道路各社で積極的に取り組まれている.筆者らは,後者の新たなアプローチとして,安全運転の対価として“楽しさ”を提供することにより,ドライバに対し自発的な安全運転を促すことを目指している.既報では,魅力的なユーザインタフェースの設計原則であるゲームニクス理論に基づき,自発的な規制速度遵守行動を促すことを目的とした高速道路走行ゲームを提案した.本稿では,試作版ゲームが運転行動に与える影響について,高速道路上での実車走行実験のデータに基づき考察した.その結果,多くの実験参加者がゲームに娯楽性を感じており,ゲームの提示により自発的な規制速度遵守行動が促されうることが示唆された.