2018 年 74 巻 5 号 p. I_37-I_42
政策実施による経済効果の空間的波及を定量的に評価する代表的手法である空間的応用一般均衡モデルでは,外生的に与えられる代替弾力性パラメタの値が,分析結果に大きく影響する.これまで,アーミントン仮定に基づく,生産地間の代替弾力性についての研究は蓄積されてきたが,近年開発が進んでいる独占的競争型モデルを前提とする,財バラエティ間の弾力性については,実証的推定がほとんど行われていない.本研究は,国内交易における財バラエティ間の代替弾力性の簡易な推定方法を提案し,複数の計量経済的手法により産業部門毎の代替弾力性の値を推定した.