抄録
気候変動は人類の生活や経済活動に少なからぬ影響を及ぼす可能性が指摘されているが,人口が集中する都市はその対策に重要な場である.本研究では,世界の約3600の都市を対象に,気候変動レベルが異なる3つのシナリオについて,2050年までの「高温日リスク」と「多雨日リスク」の変化とその主な要因について分析した.その結果,高温日リスクは,気候変動により全ての都市で増大する.主な要因はどの都市も,高温日数の増大である.また,気候変動レベルが高い程,各都市の高温日数が増える.一方,多雨日リスクは,気候変動によって増大する都市が多いものの,約1/4の都市ではむしろ減少する.また,リスク増大の主要因は,多雨日数増大,又は多雨強度増大と都市によって異なる.都市毎のリスク変化と要因の違いを考慮した対応策が必要と考えられる.