抄録
従来の道路交通安全対策事業において環境暴露量としての交通量の把握が困難な道路交通センサスの対象外となるリンクにおいては,事故のリスク要因を定量的に評価することが難しく,そのような地域では,利用可能データに制約があるため事故件数に基づいて対策を講じざるを得なかった.本研究では,民間プローブカーの走行距離データを用い,非センサスリンクにおける交通量を推計することで事故リスクを定義し,その要因を明らかにした.対象地域を4次メッシュ単位に区切り,種々のデータ値をGISを用いてメッシュ単位で集約し,事故類型別にモデルを構築した.その結果,学校付近では死亡・自転車事故リスクが高まることや,農用地割合の高いエリアでは,死亡事故リスクは高まるが,右左折事故リスクは低くなることなどが明らかになった.