2018 年 74 巻 5 号 p. I_91-I_100
本研究は,全国の道路空間再配分の取組に関する社会実験事例についてアンケート調査およびヒアリング調査を実施し,近年我が国において議論が活発となっている道路空間再配分の取組が定着化するための要件と課題を整理し,それらに対する社会実験の役割を明瞭化することを目的とする.調査結果より,取組の定着化に向けて社会実験を活用し,課題を可視化して修正を繰り返しながら合意を少しずつ深めていき,早い段階から地元と行政が取組における運用・管理について役割分担を図りながら地元の主体性を高めていくことが重要であることが明らかになった.今後は,予算確保の上で重要な便益評価手法の確立や,継続的かつ多様な空間利用を図る上で制度面の充実や法改正が期待される.