抄録
近年,都市計画分野において健康増進に繋がる生活環境の実現を目指す「健康まちづくり」に関する議論が活発になっている.しかし,健康増進に関する研究を行っている公衆衛生分野の知見は,健康まちづくりの政策に反映出来ているとは言い難い.そこで,健康まちづくりに公衆衛生分野の視点や知見を反映させるために必要な参考情報を提供することを本研究の目的とする.具体的には,両分野での各評価指標群を階層的に整理し,テキストマイニングを用いて評価指標群の相違を比較することで,都市計画分野に欠けている視点を考察していく.分析結果として,都市計画分野では,歩きやすい生活環境のハード面を重要視しており,生活環境のソフト面や社会・地域のネットワークに関する視点が十分とはいえないことがわかった.