抄録
過去,地震災害の発生時には家屋建物やライフラインの被災によって自宅で入浴ができない「入浴困難者」が発生し,彼らに対する入浴支援が実施されてきた.南海トラフ巨大地震のような広域災害時においては,かつてないほどの広範囲に多数の入浴困難者が生まれることも考えられる.入浴支援の効果的な実施を検討するためには,発生しうる入浴困難者数と必要な支援量のオーダーを把握しておくことが重要である.本研究では愛知県岡崎市を対象にケーススタディを実施し,南海トラフ巨大地震の発災時に発生しうる入浴困難者数を推定したほか,避難所への入浴支援拠点の開設を施設配置問題としてとらえ,その必要数について推定した.