抄録
個人移動の把握のため,パーソントリップ調査や非集計交通行動モデルの開発が行われてきた.本研究では,個人の1日の活動全体を詳細に表現できるアクティビティモデルと,動的な交通状況の再現が可能な交通データの両者を統合することにより,現況に即した個人の移動の再現を目的とする.状態空間モデルにおいて,個人位置を状態ベクトルとして表現し,観測データから得られるゾーン滞留人口を観測ベク
トルとして定義する.システムモデルとして,アクティビティモデルPCATSを利用し,観測モデルを状態ベクトルと観測ベクトルの類似度として定式化する.フィルタリングにおいては,モデルの非線形性や非正規性を考慮し,パーティクルフィルタにより実装する.提案手法を東京都心三区に居住する個人に対して適用し,その有効性を確認した.