2019 年 75 巻 5 号 p. I_83-I_91
本研究では,観光地のネットワーク化が外国人の観光消費に与える影響を分析する周遊型観光消費モデ ルを開発した.また,このモデルのパラメータ推定法を提案し,47 都道府県データを用いて実際にパラメ ータ推定を行った.そして,この周遊型観光消費モデルを用いて,リニア中央新幹線の開業が訪日外国人の観光消費に与える影響について分析を行った.分析の結果,訪日外国人の周遊行動の変化によってリニア中央新幹線の沿線だけでなく,東北南部や中国,四国の各地域でも観光消費が増加すること,また,リニア中央新幹線の開業は成田空港,羽田空港,中部空港,関西空港からの入国者の効用を増加させること,特に,関西空港や中部空港からの入国者は首都圏を含めた観光地へのアクセスが向上するため,その効用が大きく増加することが明らかになった.