抄録
人口減少とマイカー利用の拡大により商店や診療所などの生活に必要なサービスが地域から失われ,いわゆる「買い物難民」や「通院難民」と呼ばれる人々が増加している.徒歩圏内に日常生活に必要なひとまとまりのサービスを提供する「小さな拠点」と上位階層の拠点,および,それらを有機的に結ぶ公共交通サービスの計画的な整備はそのひとつの解決策であるが,それにより保障される活動機会の大きさを適切に計測・評価するための手法は必ずしも確立されていない.そこで本研究では,「食料品の買物」を例にとり,活動拠点への到達機会の大きさを定量化する既往のアクセシビリティモデルにサービスの多様性概念を組み込むことにより,各拠点に持たせるサービス機能とそこへのアクセスのしやすさを同時に考慮しうる活動機会の評価モデルを提案する.