2020 年 75 巻 6 号 p. I_153-I_161
近年,日本で頻発する大規模災害において,避難行動要支援者の被害が甚大である.水害は災害の進行速度が比較的緩やかであるため,被害が拡大する前の早期避難が実現すれば人的被害を大幅に軽減することが可能である.そこで本分析では,避難により多くの時間を必要とする避難行動要支援者を考慮した身体状況や地域特性に着目し,町字ごとに細分化された新たな避難情報提供法による人的被害の軽減を目的とする.その基礎的把握として,時間経過を考慮した被災可能性人口の推計を行った.その結果,石川県小松市を流れる梯川の一破堤点が氾濫した際の避難行動要支援者がいつ,どのような浸水想定に,何人程度見舞われるのかを町字単位での推計を行い,被災危険性を明らかにすることができた.