2020 年 76 巻 1 号 p. 33-42
グローバル・サプライチェーンを構成する重要インフラである国際海上コンテナ輸送の遅れが大きくなってきている.2018年には,全コンテナ船の定時到着率が約2/3まで低下した月もあり,長距離の東西基幹航路はさらに定時性が低いと見られる.このような背景の下,本研究は,航路サービス別の定時性を詳細に把握し,その結果より,遅延を生じさせている要因について分析を行ったものである.その結果,基幹航路全体で定時到着率は7割を切っており,遅延の8割弱が中国及び欧米での港湾で発生していることが明らかになった.中国ではほとんどの遅延が着岸前に発生していた一方,欧米では主に着岸中に遅延が発生していた港湾や着岸前及び着岸中の両方で遅延が発生している港湾も見られた.